ウイスキーには『オフィシャルボトル』と『ボトラーズボトル』があり
『オフィシャルボトル』とは名が示す通り
蒸留所が製造から瓶詰までおこなっているボトルである
では『ボトラーズボトル』とは何なのか
それはインディペンデント・ボトラーズが
蒸留所から樽ごと買い取ったウイスキーを
オフィシャルにない年数で熟成をしてみたり、樽を交換したりと
インディペンデント・ボトラーズ毎のオリジナルボトルの事である

そんな『ボトラーズボトル』を今回取り上げてみようと思う

アードベッグと出会ったのが10年以上前なら
ボトラーズと出会ったのはいつの頃だろう

記憶を辿っていくと、うっすらとだが思い出してきた

あれはまだ私が中島屋酒店に入社したての頃
アードベッグと運命的な出会いはしていたが
知ってる酒といえば浜省がMONEYで歌ってたドンペリぐらいのもんで
最高の女とよろしくやる事を夢に描いていた20年以上も前の話である

いつも通りに配送を終え、新妻が待つ自宅へ帰る途中
和音で創った猪木ボンバイエが鳴る
本当はジャンボ鶴田の『J』にしたかったのだが
リズム感を母のお腹に置き忘れた私には難しく
仕方なくこれを使っていた

相手は地元の先輩で
今、バーで働いているから飲みに来いとの事

久しぶりの電話に、若干のうさん臭さを感じたが
モルトも充実していると言うので後学のために行く事にした
決して可愛いスタッフもいるという言葉に釣られたわけではない、、、
ギャルに釣られた訳ではない、、、、、

場所は卒業した中学校の近くなので徒歩で向かう
足取りが軽いのはギャルの影響か?

久しぶりに地元を歩くと
意外や意外、昔はなかった小洒落た飲食店などがあり
その塊の中に、そのバーを見つけた

扉の前に立つとギャルへの期待感なのだろうか
昔読んだ本の事を思い出す
第一印象は、ほぼ視覚と聴覚で決まる
ポメラニアンだかトレビアンの法則だったと思う

扉に映った自分の姿をチェックし
一度うなずいた後
扉を開ける・・・・・

先輩とギャルの綺麗にハモった「いらっしゃいませ」で迎えられると
カウンターへ歩きながら目線をギャルの方へ向ける

・・・・・・・・元カノじゃね?

随分と変わった姿に自信はないが
先輩が笑いを堪えて下を向いている
コイツ、、、やりやがった

鯵なら開き、鰹ならタタキにでもしてやりたいところだが
今日は魚の気分じゃないと
何も言わずカウンターに座りビールを注文する

生ビールを注いでいる彼女を見て
改めて時間の流れを感じる

長かった黒髪は金髪ボブに
白かった肌は小麦色に
極めつけは、あんなに細かった二の腕が
あのスタン・ハンセンのように逞しくなっている
しかも付けているアームウォーマーが
完全にハンセンのそれとリンクする

もはや別人と言っても過言ではない元カノの変化に
一瞬、あの白い悪魔が頭をよぎる
このフリーザ様は変身するたびにパワーが増すのよって

ビールを持ってきた元カノも私に気づいたようだ

ドラマであれば、今後の展開にこうご期待と
玉置が恋の予感でも歌いそうなもんだが
相手がハンセンでは、流石の玉置もマイクを置いた

時折見せるアームウォーマーを直す仕草に
思わずスウェーしてしまうのは
本能が彼女をハンセンだと認めた証だろう

左腕を天に向かって上げ、息を大きく吸い込み彼女が言う
「私って付き合っている男に染められちゃうの」

このセリフを思い出した時にふと思う
ボトラーズって、、こんな感じの事かしらって。

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